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BTA方式深穴明け加工について

日本にBTA方式深穴明け加工が紹介されて50数年。その加工方法は、現在も当時と同じ以下の3種類に大別されます。射出成形機、中空成形機、食品加工機のシリンダーやスクリュー、クランクシャフトの給油用の孔、油圧制御のシリンダーやマニホールドブロック、ラリーカーのショックアブソーバーなど、BTA方式の深穴加工の用途は拡がっています。

深穴加工の中には、より歴史のあるガンドリル方式の穴明け加工があります。重切削や高精度の深穴加工の分野では、ハイスピードで作業能率の良いBTA方式の方が優れています。BTA方式機械の外観、能力、写真などは→コチラを見てください。

ソリッドボーリングヘッド
ソリッドボーリングヘッド

 ◆ソリッドボーリング加工

一般的な加工方法で、ムクの材料に穴明けする場合に使用されます。孔になる部分の材料は、全て切粉になります。図中では、ボーリングバーの内を通って排出される切粉を小さな短冊で表示しました。

トレパニングヘッド
トレパニングヘッド

◆トレパニング加工

材料に大径の穴を明ける場合に使用されます。孔の中心部分(芯材)を残して深穴加工をする専用のヘッドが使用されます。

カウンターヘッド
カウンターヘッド

◆カウンターボーリング加工

材料に既に穴が明いている、またはパイプ状の材料の穴拡げ加工に使用します。面粗度や精度が必要な場合にも用いられます。

止め孔のBTA加工と2段孔

材料を貫通せずに途中で止める深穴加工があります。止め孔加工と呼んでいます。
止め孔を指定する時は、工具先端の傾斜が始まる位置を指定する「肩止め」と先端の寸法を指定する「先端止め」があります。
上図の様に先に明けた穴寸法より大きな穴を追加工する場合があります。上図は2段穴です。
多段穴加工でもスピンドル材料の様に厳しい公差が要求される場合もあります。
穴寸法にはめあい公差が適用される場合はホーニングを行います。

昭和53年6月1日の新聞記事が出てきました

昭和53年6月1日の新聞に当社の記事が出ています。
 「ユーザーの知恵」拝借 試験片抽出機の共同開発・販売
『“工作機屋には限界” 池貝鉄工 日本高速削孔と提携』の見出し。

少し見難いですが、記事の内容は、大型の機械製品メーカーでは機械試験用のテストピースをたくさん切出している。日本高速削孔(株)製のバー回転方式BTA機械を使えば、専用のトレパンカッターで採取したコアから、引張試験片などのテストピースを製造できるというもの。従来のノコ切断でのテストピース採取と比べコスト低減・時間短縮に寄与するというものです。
40年前の記事ですが、オイルショック何するものぞという迫力がありますね。

止め孔の寸法を指定するには?

上図はφ100×1,000Lの材料にφ50の止め孔を明ける場合の参考例です。
上段は、φ50のBTA加工で、肩までの寸法が500mm深さとなる指定

下段は、φ50のBTA加工で、先端までの寸法が514mmとなる深さの指定

止め孔の場合、肩までの寸法なのか、先端までの寸法なのかを間違えないように指示します。

BTAにはヘッド回転方式もあります

図の2番の様にBTAはワークが回転している状態で、チップが付いたヘッドを送って行って深孔をあける構造になっています。図の1番の様にワークが固定で、チップが付いたヘッドが回転して深孔をあけるBTA機があります。
この場合は材料の中央ではなく、偏芯した場所に深孔を明けることになります。

 

ロールやクランクシャフトの脂孔、油圧回路の制御用マニホールドなどの深孔加工に適しています。また、板材やロールの冷却水穴などにも使われています。

長尺の丸棒材料に小径の深孔を明ける

73x4700Bar23BTAΦ70mm×4,700mmという長尺の丸棒材料にΦ23mmの深穴明け加工です。材料を固定し、BTAのヘッドが回転する方式で深穴加工をトンボ(両端から深穴を明ける)で施工。センターの段違いは約0.3mmという好結果。条件によっては、1~2mmの段差ができます。
下図はトンボ加工の説明です。

マグネット吊り具は便利です


写真の様なマグネット吊り具(リフティングマグネット)をクレーンのフックの下に付けて使用します。板状や角柱の形状をした製品で磁石に付く材料は、このマグネット吊り具を利用して製品の移動に使用します。
このマグネット吊り具は1,000Kg(1Ton)まで吊上げ可能です。

写真の様にマグネット吊り具の右のバーが手前にある時はマグネットがON。バーを向こう側に倒すとマグネットがOFFになって材料が離れます。

全加工も承ります

中実のステンレス棒材からの内外削加工製品です。
本材料は、まずBTA施工で中空パイプを製作します。続けて旋盤で外削・丈ギメをして規定の寸法に仕上げます。
この製j品には、端面の開先加工も加えられています。

熱処理、寸法公差や加工形状、内面研磨のホーニング加工など、お客様からの様々な要望に応えられるように、当社の協力会社様と一緒に積み上げてきた豊富な経験を製造に生かしています。

深穴加工は、色んな分野の製品に使われています


当社の会社案内にはA3サイズで色んな産業分野で使われているBTA加工製品を掲載しています。
最近では、航空・宇宙の分野でもBTA加工製品が使用されています。

技術的にお客様と打合せ・改良をして実現した製品。加工段取りを検討して、従来加工不可と思われていた加工ができる様になった事などが多々あります。
さあ!何かご相談ある方はぜひご連絡ください。

偏芯加工って何ですか?


BTA深穴加工は、上図の様にワーク(加工物)を回転させ、その中心に超硬チップをセットしたボーリングヘッドを右から左に送っていき、穴を掘っていくイメージです。チップでカットされた切粉は、切削油と共に中空のボーリングバー内を通って、油タンクへ戻ります。ワーク回転の場合は、中心孔のBTA加工です。

下の写真の様に、ワーク(加工物)が固定された状態でボーリングヘッドが回転するBTAで穴明けを行うと、偏芯加工が可能になります。下の写真は、切削するヘッドが左から右へ送られて、穴明け加工中です。右のバーは、穴が貫通した時に、油が漏れないように取り付けた金属ブロックを押さえています。

ガンドリルでも偏芯穴の加工ができますが、BTA方式の深穴加工機の場合は、大径の穴も加工可能です。
下の写真は、上のBTA方式深穴加工機で加工した大径の穴です。